かなり前になるのですが、経営者の方との会話で業務と仕事の話になったことがあります。
その方曰く、「業務はこなすもの、仕事はするもの」と。
今日はこれにヒントを得た話。
まず、この発言そのものが、唸りました。
大辞林によれば、以下の通りです。
ぎょうむ【業務】
日常継続して行われる職業上の仕事。「日々の━に励む」
しごと【仕事】〔動詞「する」の連用形「し」に「こと(事)」の付いた語。「仕」は当て字〕
①するべきこと。しなければならないこと。「台所の━」「━が片付く」「━に取りかかる」
無論、どちらに優劣をつけるつもりはありませんが、この経営者の方が言いたかったことは、「日常継続して行われる」事と、「(職務定義書上や企業の所属員として)するべき」事は明確に異なる、ということを言いたかったんだと思います。
しかしながら、これは若干異なると考えています。
というのも、最高の仕事というものは、「するべきこと」を「日常継続して行う」ことに他ならないからです。
おそらく、この経営者の方は、日常継続して行われる仕事をルーチンとしてこなしてしまい、本来企業の所属員として「行うべき」ことを行っていない従業員が多いという危機感からの発言だと思っています。
じゃあ、行うべきことってなんだ?って話ですよね。
おそらく、この経営者の方は「行うべきこと」を「今日よりも明日がよい状況にすること」と定義しているのではないかと思います。
よい状況、なかなか難しい定義です。売り上げかもしれませんし、仕事の仕方かもしれません。効率を上げるとか、改善するとかもこれに当たるでしょうね。
昨日よりも今日、今日よりも明日、もっと良い状況に変える。
さて、多少強引ですが、より良い状況に変えることを効率アップだと仮定すると面白い表現をしている人がいたんです。
「効率とは、まずい方法をやめて、我々が知り得る限り最も良い方法で仕事をするという簡単なことである」
実はコレ、フォードが遺した言葉なんです。
過去は、大量生産で大量消費がもてはやされました。ゆえに、効率の追求は、高品質なものを大量に作ればOKでした。
しかし、今の時代違います。様々なところでいわれていますが、VUCAの時代です。
であれば、効率の求め方も変わっているはずです。
見通しのきかない不透明な時代、確実に見通せるのは明日だけ。であれば、明日を思ってい今の効率を改善する。それがいま求められている働き方だと思うのです。
日々のカイゼンを通して、効率というより良い明日を創っていく。
それを実現している企業があります。
製造業の大家TOYOTA、GAFAの一角Amazon、Google、ディスラプターといわれるUber‥‥。
さて、ITとは、時間と空間を節約するものだと表現したことを覚えておいででしょうか?
ここにあげた企業は、TOYOTAを除けばIT企業ですが、彼らは、お客様に満足・便利・利益をITを使って提供することを志している企業です。その点、彼らにとって、ITはTOYOTAの製造ラインであり、トヨタの店舗です。
そう捉えると、面白いことが見えてきます。
彼らは業務を仕事にしてしまっているのです。
仕事を業務にしてしまう企業が多い中で、彼らは業務を仕事にする。
ここが重要です。
仕事(やるべき事)を業務(ルーチン)にしてしまうのではなく、業務(ルーチン)を仕事(やるべき事)にしてしまう。
その差は歴然です。
やるべきことを日々の業務に組み込むということは、毎日効率が上がっていくということです。毎日改善を繰り返しているということでさ。
日々の業務をやるべきことにしてしまっては、ルーチンを繰り返すだけです。効率化は見込めません。
過去最長になってしまったので、今回はこの辺で。
次回はそんな事を本気でやってしまっている企業を紹介したいと思います。