なにしてみよっか

サービスってなんだろな?を細々と。基本マニアックなネタが多いです。トヨタ生産方式を信奉してます。某製造業の営業と社内SEをやってました。

業務と仕事(2/3)

前回の続きです。

 

前回、やるべきことを日々の業務に組み込む働き方をしている企業が成長しているという趣旨の話を致しました。

 

この日々の業務に「やるべき」事ーつまり、昨日よりも今日をより良い状況にする事ーを組み込む働き方。これは、いわゆるトヨタ生産方式の柱の一つです。

 

そう、つまり、TOYOTAは、トヨタの時代から日々の業務にやるべきことを組み込む、これを実践しているのです。

 

でも、それじゃトヨタマンセーの記事になってしまいます。

 

今日ご紹介したいのは、Netflix。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、"カオスモンキー"という本番環境に意図的に障害を発生させるという何とも意地悪なツールを作ったのが、この企業です。

 

手元の資料から引用します。

Netflixの具体的な設計目標の1つは、米国東部リージョンで起きたようにAWSアベイラビリティーゾーンが全て落ちても実行し続けられるようにする事だった。

(中略)

つまり、Netflixチームは、自ら掲げた運用の回復力の目標を達成できていることを確かめるためにChaos Monkeyを実行し、本番前環境と本番環境に耐えずエラーを注入していたのである。

(中略)

Netflixのエンジニアたちは、通常の勤務時間中にこれらの問題を見つけては解決し、すばやく反復的にサービスの回復力を強化して行った。それと同時に、組織的な学習を蓄積し(通常の勤務時間中に!)競合他社を大きく超えるところまでシステムを発展させた。

*1

www.amazon.co.jp

 余談ですが、このAWSの障害時にはNetflixのエンジニアたちは会社にいなかったそうです。恐ろしいことにそれでもなお、ユーザからの信頼性は損なわれなかったということです。

 

仕事を業務に組み込むとは、こういうことです。

ここで重要なことは、エラーを起こさないことではなく、「エラーが起きても顧客に迷惑をかけない」マインドが徹底されていて、かつ、そのために必要な設計・学習の習慣が、ツール(Chaos Monkey)によって学習の機会そのものが自動化されていることです。

 

今日よりも明日をより良い状況にする。そのためには、そこに所属する人間が学び、主体的に学ぶことを奨励され、学ぶ機会を与えられていることなのです。

 

次回、長編最終回は、この仕事≒学ぶことについて深掘りし、「業務はこなすもの、仕事はするもの」のさらにその先を論じてみたいと思います。

*1:出展:The DevOpsHandbook 19. イントロダクション 350P~351P)