なにしてみよっか

サービスってなんだろな?を細々と。基本マニアックなネタが多いです。トヨタ生産方式を信奉してます。某製造業の営業と社内SEをやってました。

エネルギーという最古の仮想化から見る家電業界(2/3)

こっちは、エネルギーを軸にしてみた時に考える家電業界で考えたこと。

 

家電を使いこなすことから考えたクラウド(を使う)業界の問題点の提起は、こちらから。

 

agile-beginners.hatenablog.com

 

さて、電力を使う家電、特に調理家電の場合、予約や自動調理などの機能により、その場にいなくても料理を作ってくれる。これが調理家電の素晴らしいこと。その間、自分が価値に思う他のことに時間を割り当てられる。

 

例えば、我が家で増えた便利家電に電気圧力鍋があります。

そもそも圧力鍋そのものが時短になる超絶便利な調理器具なのですが、通常のガス(火)で使う圧力鍋の場合、百歩譲って他の家事はできても、火をつけたまま外出するなんてことはできません。しかし、電気圧力鍋の場合、何時に終わるか?をセットすれば後は気にせず外出することもできます。

 

電気を使う方が、(エネルギー効率などの差はありますが)圧倒的に便利だなと。

 

ガスは不要、なんてことを言いたいわけではなく、電力を使うとエネルギーを目的に合わせて使い分けができ、かつ、家事を(機械と)シェアできる。それが言いたい。

 

電力という純エネルギーに加工し使用場所に運ぶ事で、後はユーザの思うように使い分けができる。これって要はクラウドだよなぁと。

前回は、ここからクラウドの使い方と使われ方で課題感を書いたわけですが、今回は、家電の方。

 

エネルギーという仮想化基盤の上で生活をより便利にする能力を持つものが家電。そう定義してみると、家電業界がこれから作り出すものって、きっと家電製品じゃないな、と思うのです。

家電は家事を代替する何かという観点に立つと、サブスクとかなんとかとか様々な売り方を模索されていますが、こういう売り方に固執する限り、家電業界はもうしばらく苦しい時代になるかもなぁと。

「家電は家事を代替する何か」なんだとすると、もう少しは自動化や省エネなんかでモジュールの完成度を競ってもまだなんとかなりますが、そのもう少しが終わると家電に限らず製造業は冬の時代かなぁ?と。作ることがゴールではなく、作った後、お客様がどう使い、どう効用を得るか、が家電メーカーのゴールに変わるので。

 

電力というプラットフォームで生活を便利にするサービス(顧客に価値を提供する)のサービス提供者。それが家電の未来だと思うし、そうシフトすると、今の家電メーカーの生産方法は総じてサービスを提供するモジュールメーカーに変化します。

より高度なモジュールに特化するか、手ごろな目的特化のモジュールを作る一員となるか、はたまた、自分たちがモジュールからサービスまでを一気通貫に提供する企業になるか。ただ、これだけは、要はAppleAmazonになりますけど。

 で、たぶんなんですが、これから先、大規模製造業はすたれていくんだろうなぁと思うんです。

ちょうどこの記事を書いているときに、この記事が飛び込んできました。

diamond.jp

この記事の4P目に面白い表現があるんです。

大手家電メーカーは100人のうち90人に満足してもらう製品を出そうと思い、いろんな機能を切り離せないのでしょう。アイリスオーヤマは100人のうち5人が買ってくれたら、「それでいいじゃん」と。規模を追わない。自分たちの“値ごろ感”と“感覚”で、家電に付ける機能を取捨選択します。

5人に価値を届ければいいというこの発想。そうすれば確かに機能は絞れるし、結果、スピードも効率も上がるという。ついでにモジュールのコストも下がる。アイリスオーヤマの進め方がいいというわけではなく、アイリスオーヤマの進め方も許容される業界になってきているんだなぁと。

 

しかし、これ、別の観点から見ると、我々ユーザにも難しい課題を突き付けている。 

なぜなら、我々ユーザもどのようなサービスがほしいのかを明確にしないとちゃんとしたサービスは受けられないということです。これらモジュールを買うお金、維持するための電力を使うお金も有限です。つまり、失敗した買い物をするとQOLは下がるということ。何かを切り詰めることになる。本当に切り詰めてはいけない物を切り詰めてしまうと、途端に苦しい日々を送ったり、無理な生活を続けていくことになる。

 

とはいえ、難しくても、大変な時代だとは思いません。現に私たちは使いこなしている。馬が自動車になっても使いこなして運転してます。飛行機や電車は対価を払い乗りこなしている。私たちは技術とその技術の産物から生まれたサービスを使いこなしている。

 

だから、たとえば、企業ではない私たち個人もモジュールを組み合わせたサービス提供者になれるチャンスもあるし、逆に、そうやって生まれたサービスの受益者になることもできる。

ちょうど話として出まくっているので家事の話をすると、家事は家族へのサービス提供であって、家電はサービス提供のモジュールに過ぎません。家事という家族へのサービスを提供するにあたって、家電というモジュールをどう自分たちの家庭に組み入れるのか?そういう観点で物を買わないといけない時代になってきた。

 

ちょっと前まではモジュールの使い手は「専業主婦」が主流だったので、モジュールがめざすのは主婦が使いやすい家電だったんですが、

今はそうではない。CM見てても父母や子供と並んで料理するシーンが増えたように思う。じゃあ家の構造はどうか?そもそも、家ってそんな簡単に作り替えられるっけ?とか。色々疑問がつきません。

 

 ……ちょっと話が家電からそれてしまったので、改めて第三回目にこのあたりの生き方は書きたいと思います。