なにしてみよっか

サービスってなんだろな?を細々と。基本マニアックなネタが多いです。トヨタ生産方式を信奉してます。某製造業の営業と社内SEをやってました。

今あるサービスをITIL4で検算してみる-みんなの銀行はどう収益を上げるべきか-(4/5)

前回はみんなの銀行は、サービス消費者を今までの債務者と共に口座の開設者も含めたところに大きな変化点があり、そこが銀行という業界を創造的破壊(ディスラプト)していくきっかけになるのではないか?という記事でした。

プレミアムサービスという手段を通じて口座開設者をお客様にした「みんなの銀行」はこれからどうこの新しいお客様に相対するべきか。それに対する提案の前に、そもそもみんなの銀行は今まで何をやってきたのか、何をしたいのか?ということを整理したいと思います。

 

「みんなの銀行」「ふくおかFG」などのキーワードでググってみて以下の情報が集まりました。(今まで知らずにこれ書いてたのか、というツッコミは……おっしゃる通りです。反省)

  • 2019年8月にふくおかFGがみんなの銀行を始めると発表
  • 2021年3月期の純利益は▲47,186千円
  • 2021/5/28からサービスを開始した
  • ふくおかFGのIR情報によれば、みんなの銀行の目標残高は2200億円。

 

余談ですが21年度3月期の決算公告をみると固定資産が576千円。流動負債が2,524千円。営業していないので、流動負債は請求書に対する未払金だと思うのですが、固定資産も負債もなんと微々たるものか!*1

 

www.sankei.com

「利ざやビジネスが銀行たるゆえんなので、収益の柱は貸し出しだ。ローン商品を今、開発している。ローンはノンバンクも含めて競争が厳しいが、せっかくゼロから作り上げるので、ユーザーが使いやすいサービスを提供していく。BaaS事業の潮流は海外ではたくさんあるが、今後日本でも主流になれば、将来的に個人向けサービスと収益が逆転する可能性はある」(副頭取の発言)

貸し出す仕組み(ローン商品)を開発中と記載があります。やはり、目標残高2200億円を使って収益を上げることを狙っています。図3-2の債務者に対して、そこに刺さるローンを開発しているということです(図3-2’:みんなの銀行のサービス提供モデル)

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図3−2’:みんなの銀行のサービス提供モデル(債務者強調)

 

さて、本題です。副頭取は「個人向けサービスと収益が逆転する」と述べています。

ローンが柱ではあるのでその商品を開発するけれども、個人向けのサービスも拡張し、そのサービスでも収益を上げていくと読めます。つまり、プレミアムサービスの拡張ですね。

 

では、そもそもIRとして発表した2018年当時と2021年の今、取り巻く環境はどう変わっているのでしょうか?2018年当時の戦略のまま対応可能でしょうか?

雑ですが整理しました。(図4-1:サービスマネジメント4つの側面で考えるプレミアムサービスの取り巻く環境)

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図4-1:サービスマネジメント4つの側面で考えるプレミアムサービスの取り巻く環境

まず言えることは、みんなの銀行のIRを出した当初に比べ、キャッシュレス決済は追い風になっていると思います。これは、社会的、技術的要因によります。

そもそも現金を使うことがリスクですしキャッシュレス還元事業の後押しもあり、キャッシュレスをトライする人が2019年当時に比べれば増えています。キャッシュレス決済に対する認知及び利用者のリテラシは上がっていると思われます(+の効果)

現在600円で得られる価値としては、キャッシュレス決済時1%のキャッシュバックが価値として一番理解しやすい。かつ、2019年よりキャッシュレス決済を使うユーザは増えているため勝ち目はありそうです。しかし、他のサービスがあまり魅力的ではない*2ため600円を取り戻せるか戻せないかが判断の主軸になってしまい、みんなの銀行の収益的には悪い。

ならば、600円で判断しにくいコト消費を作るしかないと思うんですね。金融機関として。

みんなの銀行のメッセージお金のSNS始まるですから。

www.minna-no-ginko.com

 

と思ったら、ちょうど面白いキャンペーン始めてまして。*3

*4

 

www.minna-no-ginko.com

 

要するに、こういうコト消費をプレミアムサービス限定で、もう少し金融機関チックに仕上げることを考えます。私なら。

例えば、プレミアムサービス契約者限定でビジネスプランコンテストなんてどうでしょうか?

債務者に貸し出す金額上限はプレミアムサービス契約者のBoxの合計金額まで。

Boxに入れた金額が投資上限金額。債務者候補(ビジネスプラン提出者)は、プレミアムサービス契約者に向けてプレゼンテーション。格納されたBoxの額が、融資される上限。

やりすぎ(法律的な確認や金融機関の関連規制の確認も必要ですが)かもですが、このBoxの投資額は融資ですので、なくなるかもしれないし、もしかしたら儲かって、バックがあるかもしれない、とか。

これがまずければ、金利で還元や、orクラウドファウンディングの謝礼的なものなど。。

クラウドファウンディングの会社や、ショービジネス的なAPI連携も行なえるならAmazonNetflixなどエンタメ会社からサービス手数料として収入を得ることもできるかもしれません。既存の銀行業界へのディスラプトの第2号、第3号ができるかもしれません。

 

まとめます。

今回申し上げたかったことは、みんなの銀行のプレミアムサービスは、易々と600円の値段を上げることはできない。

ならば、600円以上のキャッシュバックできちゃった♪というお得感だけではなく、モノ消費ではない価値を付加して600円以上だと感じさせる工夫が必要ではないか?ということでした。

その手段として、どうせ金融機関なら、お金を消費ではない手段で使わせることで、「SNS的な繋がるサービス」をモットーとした新しいお金での遊び方を提案してみる、というのはいかがでしょうか?

 

というご提案です。

*1:さすが勘定系をフルクラウド(GCP)で作っただけありますね。ここまで安くなるとは驚きを隠せません。ここについても掘れば掘るだけ面白い考察が色々できると思うのですが、本論ではないので割愛。ちなみにここ数ヶ月止まりまくってる某サクラダファミリアは非公開となってますが、ソフトウェア開発費は固定資産として決算に計上されます。リリース以降、四捨五入で二桁回停止しているあそこは21年度決算によるとソフトウエア資産410,000,000千円。みんなの銀行は576千円。どういうことでしょうね。口座開設者から見れば、できていることは同じなのに

*2:キャッシュレス決済を中心に考えなくてもATMで現金引き出すの月に1〜2回に絞り込めるし、他行に振り込むようなサービス使うことってクレカ機能があれば滅多にない

*3:本気でこのキャンペーン出る前にこのブログの記事アップしたかった……

*4:冗談抜きでこの記事の構想を思いついたのは9/2の夜、書き始めたのは9/5なので、このキャンペーンの始まった9/6より前なんです……。このキャンペーンを見たからこの記事を思いついたわけではないのですっ……