なにしてみよっか

サービスってなんだろな?を細々と。基本マニアックなネタが多いです。トヨタ生産方式を信奉してます。某製造業の営業と社内SEをやってました。

今あるサービスをITIL4で検算した結果の話-キャッシュレスはどこまで進む?進むとどうなる? 金融経済の観点から-(1/2)

本稿は、ITILあんまり関係ありません。

前稿でみんなの銀行という新しい考え方で作られた銀行をITIL4で検算してみたのですが、その結果、どうも経済という考え方に立ったときに、現金というものが面白い位置に来ているんじゃなかろうかと思い、ちょっと整理してみました。

本項で伝えたいことは次の通りです。

 

現金ベースの仕組みを改めることで、経済の原則を変えることなく、経済を高速に回すことが可能になる。

従って、国策として、キャッシュレスを推進することは日本経済を救う一つの手段になるんじゃないか(ただし、雇用は一部失われる)

 

まず、このお話を進めるにあたって、2つ説明しておきます。

  • そもそも「現金」をお金たらしめているいる理由は何か
  • ITで出来ることを突き詰める

そもそも、お金とは「富の価値を表す共通概念である」と言えます。

どういうことかというと、現金(紙幣、貨幣)は実際問題その価値はないですよね。皆が1万円と読んでいるアレは、特殊インクとこれでもかと偽造防止技術が組み込まれた特殊な和紙ですよ。*1

この1万円は、①皆がその価値として流通していることを認識し、かつ②法律で決まっている(法定通貨)からその価値あるものとして便宜的に使えるだけです。

早い話が信用され法律で補強しているから1万円として使えるということです。現金がお金である理由はここです。

ということは、①と②が満たされていれば、現金である必要はないってことです。故に、お金は概念、という表現をしました。(暗号化資産は除いてください。話がややこしくなる。投資の話をしたいわけではないので)*2

別の表現をすれば、現金(≠お金)はお金という概念を実際の形に変えたもの、ということなんですね。皆が信頼し、誰かが保証すれば、現金ではない手段でもOKということなのです。

キャッシュレスは、その点、法定通貨たる現金の信用・信頼を借りつつ現金と同様に使える事を担保することで、現金ではないにもかかわらず、現金のように使える価値を提供していると考えられます。

何が言いたいかというと、キャッシュレス事業者は法定通貨の範囲内において現金以外の決済手段を提供できる、別の言い方をすれば、市場に流通する現金と信用創造によって流通される現金の総量の枠内でキャッシュレスが提供できる。とどのつまり、量的緩和がダイレクトに進むんです。

 

これって、当たり前と言えば当たり前のことなんですが、すっごい可能性を秘めていると思っていて。

何度も出して恐縮ですが、仮にみんなの銀行のプレミアムプランに全員が加入すると、勝手に口座数×5万円分の富がキャッシュレスで流通可能な富が増えます。使おうが使うまいが。ここ大事です。使おうが使うまいが富が増えます。

日銀、、というか中央銀行は直接的に現金市場に関与できませんが、その先方たる銀行とキャッシュレスが組み合わさると、今までは融資でしか出来なかった信用創造が、結構お手軽にできる。しかも、日本銀行券の増刷なしで。

 

ここで2つ目。

『IT』とは、物理的な物を介する必要性のある物を電子化することで「時間」と「空間」を低減する力しかありません。

 

今回の事例で言えば、『融資』という手段を実行するためには、窓口で書類を書き、必要となる証跡、例えば身分証明書、返済能力を証明する書類(事業計画や収入証明など)、売買する物やサービスの見積もり、、、などを提出し、さらにそれらが正しいかの審査を経て、審査の証明、銀行の決裁権者の証明を経て、ようやく振り込まれます。ここにも物理的なモノが介在しています。そのモノが必須なのではなく、そのモノが証明するデータが欲しいにも関わらず、です。

 

中央銀行からすれば、仮に金融施策を実行しても結果が出てくるのは、こういうくっっっっそ面倒な手続き(プロセスとはITSMを志すものとして死んでも言いたくない)を経てからになるので時間がかかりまくってしょうがない。要するに、銀行で歩留まりを起こしてしまう。金融市場は秒単位で動きまくっているのに、中央銀行が打てる手段の効果は時間かかりまくるわけです。

 

今までは、銀行は経済の血液たるお金を回すことで金融インフラの役割を果たしてきたわけですが、経済のスピードが早まるにつれて、現金を介した血液循環の仕組みを超えてしまった。そう考えると、現金ベースの経済の仕組みや手続きは見直してもいいんじゃないかな?と考えるわけです。

 

そうなると、金融施策を発動して即効果が出るようになり、後は我々お金を渡された側がどう使うか、に委ねられます。

景気が回復するのか、不況に喘ぐのか。全ては我々国民の手に委ねられるようになる。お金の使い方に真剣にならざるを得ません。

どう使い、何の価値を得るのか。それが、自分への価値だけではなく、お金を渡す相手のことも考えて使うようになる。

金融への教育、お金の使い方の勉強を大人も子供も考えて使わなければいけない時代になる。

 

究極的にキャッシュレスはそこまで突き詰められるのではないか。そう思ってしまいました。

 

今回の記事は、学士レベルの経済学(しかも2x年前の)の知識と色々wikiにお世話になって書いた記事です。私の書いたこの記事が正しいとか間違っているとかを論じたいのではなく、疑問に思ったことを、こうやってググって調べ、自分なりの結論に落としこむ、こういう経験がこれから先必要になるのではないかなと。これも一つの学び直しかなぁと考えるのですが(笑)

*1:余談ですが、目の不自由な方向けに、「言う吉くん」という国立印刷局謹製のiOSアプリがあるそうです……すごい!色んな意味で……

*2:その点、支払いはキャッシュレス決済で良いのですが、弁済や賠償、その他法令で定めるようなお金については現金の方がいいようです。ここは強制通用力の出番になるので