なにしてみよっか

サービスってなんだろな?を細々と。基本マニアックなネタが多いです。トヨタ生産方式を信奉してます。某製造業の営業と社内SEをやってました。

デジタタル化とデジタルトランスフォーメーション

こんにちは。予告をしているにも関わらず、最近住民票を置いている市でマイナンバーカードを使った面白いサービスを始めていることに気がつき、実際に体験してみました。

それをITILで置き直してみると、マイナンバーカードがDXそのものではなく、DXのための重要な要素なのだなと言うことに気がつきました。

そこで、今回は日本のDXを推進するためにも、あえてマイナンバーカードってまだDXじゃないけどこれからDXを支える要素になっていくんだぜってことをお知らせしたく予告とは別の話を投稿させてください。

 

それを始める前に、皆様、デジタルトランスフォーメーションとデジタライゼーション、デジタル化の違いってご存知でしょうか?

実は、我らがITIL4は、デジタルトランスフォーメーションとデジタル化しか定義しておらず、経産省はそれに加えてデジタライゼーションを定義しています。

それを下記の通りまとめました。

図1:3種類のデジタル推進

巷では、DX、DXと大合唱ですが、そもそも、DXとは、「こうだったらいいのにな」という目標を達成するために、デジタル化したデータをデジタル技術を使って実現することなのです。

文字だけではわかりにくいかと思い、図も用意してみました。この「デジタル化」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」を絵にすると下記になります。

図2:3種類のデジタル推進の関係性

 

裏を返すと、デジタル化しなくていいものをデジタル化することでもないですし、デジタル技術を使わないでも「最適化」されているのであれば、デジタル化しなくていいのです。

ですが、この最適化が曲者で、残業もなければ人を待たせることもないし、どのような立場、身分、状況にある人であっても同じようにそのサービスが受けられることを最適であるとしています。そんなサービス提供側もサービス受益側もパーフェクトにハッピーなサービスってありますかね?ないと思います。つまりどのサービスも最適化のための余地は残っています。

 

さて、では振り返ってみて、今回の対象になっている行政サービスを見てみましょう&さらにマイナンバーカード導入によってどのように変わったか見てみましょう。

図3:住民向け証明書発行サービスの変化

どう思われるでしょうか?

全くフローもプロセスも変わっていません。変わったのは、マイナンバーカードによって、AのプロセスとCのプロセスにおけるカスタマージャーニーが変わり、「来場する必要性がなくなった」だけです。たったそれだけ、たったそれだけなのに、自宅療養であろうが、家から動けない人であろうが、移動にバリアがある人であろうが、自分で証明書を取得できるようになったのです。プロセスにマイナンバーカードを入れただけで、サービスを受けられる人が圧倒的に増えた。これがデジタル化の効果なのです。プロセスを変えずに、単にデジタル化しただけ。その効果がこれ。

 

では、マイナンバーカードがデジタル化として入ったあと、本当のDXが始まるとどうなるか?

デジタル化することによってしか、成し得ない世界をざっと考えてみました。

図4:DXされた行政サービス

あくまで例ですがこうなるかなと。情報を受け取るだけで3つあったプロセスは、そもそもなくなってしまいます。そして、先程の図3では表現されていなかったプロセスが登場します。つまり、先程分析したデジタルデータをアナログデータに変換して取得するというサービス不要になります。データをアナログ化するための紙も、受付、払い出す窓口もいらない。(資源も人も要らなくなる)

登録することと利用することその2つだけ。そしてその利用に際して住民そのものがその登録された個人情報の利用の承認否認を行う上で本人確認を行うのがマイナンバーカード。

本当の意味のDXとは、このように本人認証を電子化して行えるマイナンバーカードなしではなし得なかったプロセスの最適化を果たすこと。それがDXなのです。

確かに現状のマイナンバーカードは課題が多い部分はあります。しかし、そもそもアナログ化されている本人認証をデジタル化された本人認証に置き換えるための準備なのです。そこで起こりうる諸問題は、問題管理を行い、デジタルに置き換える際のどのプロセスに問題があったのかの検証を行うべきです。

一部の方々がおっしゃるようなマイナンバーカードとその意義に対してケチをつける話ではありません。2040年には働く人そのものが貴重になることが目に見えている中で、その貴重なリソースをいつまでもアナログで処理し続ける方向に持って行ってはならない。本人確認がデジタル化される、その一点においてデジタルトランスフォーメーションを進めるため、自分たちのデジタル化された情報をコントロールするための大切なデジタル化される機能なのです。

 

デジタル化されるだけで利用者がここまで増える。ここに来てさらにDXにまで踏み込めば少ないリソースで最大の効果が出せるようになる。そのための主要機能がマイナンバーカードである。それをどうか理解してほしいと思います。