なにしてみよっか

サービスってなんだろな?を細々と。基本マニアックなネタが多いです。トヨタ生産方式を信奉してます。某製造業の営業と社内SEをやってました。

ITIL4 DITS試験を振り返る

最近、遠ざかっておりすみません。

実は、ITIL4の中位モジュールであるDITSの講義と勉強に費やしており、記事の更新を控えておりました。

----以下余談-----

個人的な考えなのですが、試験対策とその実践(思考実験や整理、成果を出す)は、明確に違うと思っています。

つまり、

試験対策は、教科書を書いた人がその理解度を測る(つまりは、きれいなITIL)ための物。

実践は、きれいなITILを現実世界に置きなおすため、崩したり、優先順位をつけてあきらめる部分もある。

こういう違いがあるため、自分の経験や現場の情報をベースにした実践と、「正確性」に重きを置く試験対策は両立させてはいけない、と考えています。

よってもって、記事の更新もやめていた、と。。

ぶっちゃけ、時間がなかった、という話もあります

---余談終わり---

さて、今日のお題に対する内容は下記3つです。

始めます。

どのくらいのボリュームの勉強を、どの程度の時間をかけたか

まず、公式書籍は239Pです。(参考文献、索引込み)

そして、今回ご用意いただいたテキストは200P弱でした。

講義の期間は8時間の講義を3日。(24時間)

かなり駆け足でやっての時間ですので、個人的には4日に伸ばしていいんじゃないかと思うのですが、そうすると受講料も上がりますので、難しいところですね。ただ、24時間で終わる量ではないなとは思います。

そこからさらに自学自習の時間として689分(だいたい12時間)実施しています。

この自学自習は、次のことを行いました。

  1. シラバスで定義されている範囲を公式書籍で読み込んだ上で、該当するテキストとその時のメモを参照し、習ったことと公式書籍の内容をノートに整理してまとめる。
  2. それをシラバス全編に渡って行ったら模擬試験1を受けて、間違った点を再度確認、ノートに加筆する。
  3. まとめ終わったら模擬試験2を受けて、間違った点を再度ノートに加筆する

調子が良ければ1日2時間、少なければ30分ぐらい。(シラバス1個ぐらい)仕事で時間が取れない場合は実施していません。なので、土日の自分の時間を潰して概ね2週間半ぐらいかけています。

したがって、

勉強量:トータル2冊の本を講義・自習を含めて36時間

勉強期間:生活と仕事の合間を縫って講義開始から3週間程度

が私の事例となります。例えば介護・育児と並行するならもう少し長めにみていいと思います。

ITIL4は、授業とテストが別日程です。テストは、受講後1年以内に自分の都合のいいタイミングで受けることになりますので、それぞれの家庭事情に応じつつ、最遅でも受講後2ヶ月以内を目処に計画を組み、家族の助力を得て受験されれば良いと思います。(2ヶ月で12時間の勉強時間を確保することはどうにかなるかなと言う考え)

TOEICの公開試験のような集合型の試験と異なり、自分で選べますので、勉強計画が立てにくいとも言えますが、自由に選んでいいととも言えます。この機会をチャンスと捉えられるようにしたほうがいいかなと。

試験対策

試験対策として、絶対やってはいけないと思うのは、講義受講後、即座に試験を受けることです。(ITILv3とは真逆)

DITSは、今までのITILと異なりかなり戦略的要素が強く、かつ出題範囲が幅広です。別の言い方をすると、SIer側で実践をしてきた方にはかなり理解が難しい領域です。なぜなら、この戦略的な領域は、露骨に稟議書や決議書に書かれる部分を示しているからです。SIerとして提案し導入支援を行う立場の経験では、経験していない領域です。つまり、想像がしにくい。

授業の内容を確かめ、教科書でまたはテキストでなんと言っていたのかを確実に理解しておく必要があります。Bloom Taxonomy Levelも2ならただの暗記でなんとかなりますが、Bloom Taxonomy Level 3(分析・適応)以上で出る問題数も多いです。ただ暗記しても解けませんし、かなりニッチな用語や概念を使った問題も出るため、安心はできません。

また、問題数がMPに比べ少ないのに、合格最低点はMPと同等(70%)です。これの意味するところ、1問が重いと言うことです。単純化すると、ミスっていいのはたった9問。この9問に如何に到達しないかが勝負の分かれ目です。

なお、すべて選択式の問題なのですが、選択肢に示されている解答案は、すべて合ってるんです。誤解がないように言いますと、「書いてあることは全て間違ってはいない。ただし、問題文に照らした場合に不適切な提案/ソリューション/活動である」と言うものばっかりであると言うことです。見当違いなことが一切書いてない。

そのため、試験対策としては、ITILの試験にありがちな直訳主義を受け入れ、かつ、問題文で問われている内容は何か?(出題者はどの理解度を測りたいのか)を読み解く。これが試験対策です。試験対策になってねー(笑)

これを体得するには、模擬試験を有効に使うことです。

つまり、前述の自学自習の内容を愚直にやる。

  1. シラバスで定義されている範囲を公式書籍で読み込んだ上で、該当するテキストとその時のメモを参照し、習ったことと公式書籍の内容をノートに整理してまとめる。
  2. それをシラバス全編に渡って行ったら模擬試験1を受けて、間違った点を再度確認、ノートに加筆する。
  3. まとめ終わったら模擬試験2を受けて、間違った点を再度ノートに加筆する

これを愚直にやるのが一番いいなと思います。それでも私、6問間違えましたが

試験を受けて、ITIL4は何を目指そうとしているのかを改めて振り返る。

今回、ITIL4 DITSを受講して強く感じたことは以下2つです。

  • 本質的なユーザの価値に焦点を当てている(勘違いしてはいけません。ユーザ組織の価値に焦点を当てていません)

  • DITSは、ITSM(IT Service Management)と言う表現は不適切で、ITMSM(IT Marketing & Service Management)だと思う

DITSは、Digital & IT Strategyの頭文字なので、デジタルとITを経営戦略とを統合させることに重きを置いたBOKです。したがって、経営戦略や事業戦略といった言葉が飛び交います。ただし、一般的に想像できるような「目標数値XXXX」ではなく、もっと体系的に、ビジョン、目的、達成目標、具体的な指標と言うように整理されたものです。

株式公開企業のWebサイトや株主総会資料のような感じです。あれらの文書に記されている目的や目標を達成するためには、当たり前ですが、ユーザの価値に焦点を当てなければ達成できません。どんな目的やビジョンも、ユーザからお金をもらうと言う積み重ねでしか達成できません。そんな当たり前のことを体形立てて、かつデジタルとITと経営の戦略と合致させることを強く意識しています。

したがって、このDITSを理解できると言うことは、ボードメンバ(経営幹部)そのものか、ユーザの感じる価値に肉薄し対価を得ると言うところを意識できる懐刀として、幹部と戦略を一緒に検討する能力を得ます。あくまで能力を得るだけであってその能力を使いこなせるかどうかは別ですけど。

 

今までは、ビジョンや目的を達成するためにITを使うこと(手段)がITSMでした。

それに対し、今は、ビジョンや目的を達成するためにITを上手く使う(目的・ビジョンを達成する道具として素早く取り入れる)こともスコープに入ってきた。

 

一言で表すと、経営・及びビジネスにおける基礎的な学力として「読み書き算盤+(次々と現れる最新)テクノロジー」になったと言うことを強く意識しました。

とはいえ、数多のテクノロジーをそれぞれ実験なんかできるわけがないですし、予算は有限です。ではどうやってそれらを上手く付き合い効果効率的にビジョンや目的を達成するのか。それは、DITSが考え方を教えてくれる。

 

答えがない、またはどれが正解かわからない時代にあって、どのように捉え考えるべきなのか。一見、定性的に見えるこれらを、上手く調整し付き合っていくべき方法を定義する方法を教えてくれるのが、DITSなのだ、と言うのが私の理解です。

ここはすごく大事なポイントで、解決策を教えてくれるのではなく、解決策を考え実行するための方法を教えてくれるのです。

 

言うなれば、勉強を教えるのではなく、勉強方法を教える、みたいな感じでしょうか。