なにしてみよっか

サービスってなんだろな?を細々と。基本マニアックなネタが多いです。トヨタ生産方式を信奉してます。某製造業の営業と社内SEをやってました。

Amazon Prime wardrobeで考えたこと

最近、AmazonのPrime wardrobeというサービスを試しました。

 

正直恐ろしくなりました。色々。

 

以下、推論の域を出ませんが、簡単にこの恐ろしさについてお話しさせていただければ。

 

Amazon CAPTCHA

 

Amazon prime wardrobeってのは、こんなサービスです。

 

平日ポチって、土日に試着、要らないものはそのあと返す。

それを実現してしまったサービスです。

 

試して驚いた事。

  1. 返送するのに何も準備しなくてよかった。
  2. 全ての手数料がかからなかった。
  3. 返さなかったものだけ課金された。

 

いや、当たり前ですよね。当たり前のことを当たり前にする。これが恐ろしいと思ったんです。

 

おそらく、彼らは最初とんでもない数の実験をしたはずです。

 

まず、隣の同僚(仮にBさん)をお客様と見立ててお店やさんごっこをしたはず。

次に、間に別の同僚(仮にCさん)を挟んで、Bをお客さん、Cを返送業者に見立てて通販ごっこをしたはずです。

 

ここまでで、ありとあらゆる事態を想定し、どのようなサービスが必要かを特定したと思います。

 

そして、今自分たちが提供しているサービスでこれらのサービスがどこまでカバレッジ可能かを調べたと思うのです。もちろん、記録するシステムも含めて。

 

そして、お試しサービスという名前でごく限られた商品で試した。

 

そこでさらに精度を上げて今や何点あるんでしょうか?対象製品。

 

恐るべきは、「便利」というキーワードにここまで貪欲であるということです。

 

そして、モックアップから必要となるビジネスプロセスを定めて、仕組みに落とし込んだ。

 

そうじゃなかったら、ここまで洗練された返品プロセスを組み込めるはずがない。

 

プラットフォームに重きを置き、ビジネスプロセスを確立することをまず選び、その上に本当に提供したいサービスを作る。

 

これって、ある意味、すごいヒントだと思うのです。

 

どういうことかというと、「誰に何を売って、誰から金をもらうのか、誰にいくら金を払うのか」というサプライチェーンとビジネスモデルを一体化して考えているということ。

 

ビジネスモデルを作り、自分たちのリソースで提供できること出来ないこと(正確に言えば、提供しないこと)を明確にし、出来ないことはお金を払ってサプライヤーから提供を受ける。

自分たちの武器が明確で、自分たちにないもの(または、自分たちで作るにはコスパが悪いと思うもの)も明確にして、プロセスの役割に必要な人、チーム、組織を当てはめる。

 

アマゾンはイノベーションを考えているのではなく、結果的にイノベーションに至っているだけなのだと気がつかされました。

 

これが気がつかされたことの1つ目。

 

2つ目は、このサービスでラストワンマイルを担う、DSPに関わる問題。

 

DSP問題ってご存知ですか?

元デリバリープロバイダの俺が内部の実態について語ろう - Togetter

これこれこういう仕事をXX円でお願いできますか?という相手がただ、お金に目が眩んだ人かどうかを審査する必要はあります。

これをサボってるアマゾンも悪いとは思うのですが、これに対して、本気でアマゾンのラストワンマイルを担っているという責任がないのはこの会社の問題です。やり切れ!と言ってるわけではなく、アマゾンの単価が安いなら、なぜこの単価だと困るのか、品質を担保する正しい単価を提示する責任はこの会社にある。

 

どういうことかというと、XX円で実装できるように考える頭を持った人かどうか、ということです。この管理ができていないとDSP問題や、ファーストリテイリングが某東南アジアの縫製工場従業員から訴えられた、みたいな事件に発展する。

 

いい仕事をしても、「三方良し」みたいな結果には至らない。

 

原価低減の発想を持っている、または、契約にそういった想いを組み込めるフィクサーがいないサプライヤに発注してはならないとそういうことです。

勿論、Amazonもこういった状況に真摯に向かい合う必要はあります。

 

コスト削減!働き方改革!(残業削減!)を叫んだところで、ITによりプロセスはブラックボックス化し、細断された組織によりフローは全体を見通せない。そして組織ごとにITシステムいれちゃうもんだからビジネスプロセスはブラックボックスのまま細断される。

従業員単体は、指示された作業をすれば対価を得られる為、タスクリストを作って自分の仕事はこれだと定義してしまう。

そして、定義された業務をこなすことにフォーカスし、プロセス全体を見ようとしないし、また、見えない。(見えなくても課題が生まれない)

これは、明らかな人間の力の不信によるものです。

 

そして、この副作用は、先ほどのDSP問題などに発展してしまう。

 

この背景を考えると、いわゆる顕在化した問題の報道は実は本質を捉えていないことがわかります。

 

いくら素晴らしいビジネスモデルを考えても、サプライチェーンにより成り立つ今のサービスやプロダクトの提供モデルに登場するすべての人物が、人間性を取り戻し、働き方を変えないと真の三方よしは成り立たないし、提供企業は非難される。

そして、労働者も今までのように、ただ働いていれば認められて給与が降ってくるみたいな生活から脱しないといけない。

 

纏めます。

Amazonは素晴らしいビジネスモデルやビジネスプロセスを考える力がある。ただ、惜しい!と思う。

労働者は、ただ使役されるだけの働き方から脱し、かつサプライチェーンの一員であることに自覚をもって、主張することはしなければならないし、またそのサプライチェーンの一員である雇用主もその声に真摯に耳を傾け、また改善していかねばならない。自分たちは、自分たち以外の誰かにサービスを提供しているのだ、EaaSなのだと考えることが、労働者の働き方改革の第一歩なのです。

社内情シスの価値とは?

まいど。

 

いわゆるユーザー企業の社内情シスといわれる部門は今は過渡期だと思っています。

 

最近は全く言われなくなりましたが、「攻めのIT」「守りのIT」という言葉がもてはやされていた時期がありました。というか、今所作属している企業ではついこの間まで言われてた感があります。

今あんまり言われないので、これを取り上げて書きたい事を書き連ねるのは違うかもしれませんが。。

 

控えめに言って、アホな表現だなと。

 

事業に対して貢献する社内情シスは、攻めとか守りとかで評価される時代ではないよなぁと。きっと一般的には、「攻め」=主に売上増大に寄与する仕組みの構築、「守り」=コストリダクションや企業の価値を守る(レピュテーションリスクの回避)という捉え方ではないかなと考えてます。

 

なぜここまでズケズケと書くかというと、確実に売上増大に至る仕組みなんか作れっこないからです。確実にコストを抑えたり企業価値を毀損するリスクに備えることなんかできっこないからです。

 

例えば、AIやIoTを考えてみてください。それを導入したら、売上上がると思います?コスト下がると思います?

ボヤッとしてるので、データマーケティングツールやCRMツールで考えてみてください。それ入れて、売上上がります?コスト下がります?

 

ほとんどの方こういうと思うんです。「使い方次第」。

 

ええ、うん、そうなんですよ。てことは、入れたからといって「確実に」効果が出るとは言えないと思うんです。

 

いやいや、だから「攻め」なのか「守り」なのか要件と要求を定めて、確実に効果が出るようにするんだよ!それが情シスの仕事でしょ?

ええ、そうだと思います。でも、それ、確実性を上げるためにやる事であって、確実じゃないでしょ?100パーセント狙った通りの効果が発現するわけじゃないですよね?

 

100パーセント狙った効果を発現させるために社内情シスができる事。攻めとか守りとかじゃないと思うんですよね。

 

言いたいことは、社内情シスにできることはない、と言いたいわけではなくて、求められることが変わってきてるんじゃないか?そういうことなんです。

じゃあ何かと言うと、「可視化」ではないかと思うのです。そもそも今の時代、一人一台パソコンを持ち、一人一台以上携帯電話を持ち、という時代です。情報システム無しでは仕事も業務も回らない。

言ってしまえば、情報システムとは、読み書きそろばんと一緒。使えて当たり前で、どう使うかを議論するフェーズです。

 

社内情シスの仕事とは、この「どう使うか」を導く役割ではないか。そう思うわけです。だから、「可視化」。IT部、情報システム部などという名前はやめてしまえばいいと思うのです。

 

ビジネスプロセスを可視化し、業務フローを可視化し、サービスとして定義し、アウトプットの品質を極限まで高める事と高めるためにIT技術を使い倒す事。

 

今の情シスがやっていることは、この「IT技術を使い倒すこと」それだけなのです。

その前段のビジネスプロセスの可視化〜品質を高めることはやっていない。

 

所詮ITはカスタマイズしやすい無形の道具であるにもかかわらず、道具を冠した部門名なんてナンセンスなんですよ。

 

XX工作機械部なんて部署ないと思いません?私製造業にいましたけど、そんな部署名聞いたことないですよ。

 

もちろん、今までのシステムや仕組みはちゃんとある一定の目的を持って導入されたものです。ただ、VUCAの時代に合って、制度も変わって、法律も変わって、新しい道具(ITシステムやサービス)もどんどんリリースされているという時代に合って、今までの仕組みやシステムが無駄なルートを増やしていないか、冗長になっていないか。そういう点検を行わずに、安易にシステム改作に走ったり、丸投げをしていないか。

もしくは、丸投げの影響でそこまで知識や経験が追いついていないか。

 

最近の働き方改革の記事を見ていてもそう思います。雑な働き方改革で、結局誰かがやっていたお仕事を可視化することなく、働き方を変えろ!という。

今までやっていたお仕事を誰かに押し付けたまま、「はい、できました」だけでは、実は取引先を含めて働き方改革ができたとは言い難い。

そこで、必要になるのは、第三者の目、つまり、社内情シスではないかと思います。

エンドツーエンドでプロセスを可視化し、誰が何を負っているのか、そのうえで、その負っている業務をいかにシステム化できるのか?

 

そんな仕事、してみたいと思います。

ITILとトヨタ生産方式(訂正版)

2019年8月21日の未明に投稿しましたが、内容が伝えたいこととずれていたため、同日朝訂正版として再アップしております。

 

 

ふと、何かがつながった気がしたので。

 

いつも通り脈絡もなく、話は飛びますがお付き合いいただければ。

 

ITILの確かSOA(サービス提案と合意)とMALCで出てきたと思うのですが、サービスポートフォリオ管理プロセス、ならびにITサービス財務管理プロセスってのがあります。

 

私が学んだ時は、これらの理念だけ学び、講師の方曰く、「ま、理想論ですけどね(実際しようがないけどね)」というニュアンスのことをおっしゃっていました。

 

試験対策という意味で当時お勉強してそのままにしていたのですが、果たして本当にそれで良かったのかと、突然夜中に風呂に入ってて思いました。

このプロセスは……あー。やはりITIL Expertらしく、ちゃんと答えるべきでしょうか。。

ざっくり説明すれば、適切なコストで、必要なだけの成果を出せるサービスを設計しましょうって言うプロセス(サービスポートフォリオ管理)と、それに必要となるお金を確保しようねと言うプロセス(ITサービス財務管理)です。

とはいえ、やはり間違ったことを書いてもあれなので。。

‎「ITIL 2011 用語辞典」をApp Storeで

ご興味があればダウンロードを。

 

これ、1サービス提供あたりの売上原価を出せって言ってるだけです。別の言い方すれば、物一つの限界利益率を腹のなかに持っておいて、利益出してこいって言ってるだけです。

 

「営業職」と呼ばれる方、特に、物の卸や販売をしている方って絶対やってる。そうでなくても皆さんなにがしかこれを考えて生活しているはずです。だってそうでしょう。要はコレ「コスパ」ですよ。

 

主観的か客観的かの違いだけで絶対やってますって。

 

コスパを考えているから、より安い、またはより効用の高いものを求めて探し回るわけで。

 

このコスパを定める「軸」が実は原価ではないかと思うのです。

そして、原価とは、決めたら動かないものかといえばそうではない。

原価低減という言葉があるように、原価は無理せず、妥協せず下げるものなのです。その低減の手段が、工程で品質を作り込む、無駄を省く、省人化(≠省力化)ではないかと。

 

そうなんです。実はITILは、原価低減活動をちゃんとプロセス化していたんだって初めて認識しました。

 

コスト低減活動と思っていましたが、実は違っていて原価低減なんだと。そのために今の品質の原価を明らかにして、事業と確認する。それがちゃんとITILのブロセスには明記されていた。

 

これ、似たようなことを言っているように見えますが、違うんです。

 

コスト低減は、品質や働く人の幸せレベルをを落としてもいいからかけるお金を削減することです。

原価低減とは、品質は保ちつつ、働く人の幸せレベルを保ちつつコストを低減させることです。

 

これは明確に異なります。

この発想をサービスマネージャーをやった時に気がついていれば、もっと良いサービスが作れたかもしれない。少しだけ悔しいです。

業務とプロセスとフローとタスクを勘違いした話(長編の派生)

最近、小難しくマニアックな話をたくさんしてきてしまった気がするので、ちょっとお茶請けにでも。

 

私の仕出かした(いや、現在進行形なので、仕出かしてる)失敗談の話。

 

よくある話。

「今これに困ってるんです!」

「このデータを加工したいのにできないんです!」

「この作業にこれだけ時間がかかってて、困ってるんです」

「もっといい方法があるかもしれないんですけど、私にはこれしかできないんです。」

 

などなど。

 

よくある(ありますかね?)ギョームカイゼン、プロセス改善の時の課題発見のトリガーになる言葉たち。

 

ほんと、ほんの少し前に気がついたのですが、これって、あまり役に立たないなって認識しました。

 

例えば、RPAが始まり出した時ぐらいにノラロボット問題とか、メンテに時間がかかる問題とかがとりだたされてました。

 

最近はRPAの使われ方も結構マトモになりつつあるのかなぁと思います。よく言うじゃないですか。RPAを使う前にプロセスを整理しましょう!業務を整理しましょう!とか。

 

他にも無駄を省こう!とか。

 

だけど、よーく、考えて欲しい。

 

それ、タスクの整理になってませんか?

それ、フローの整理になってませんか?

 

いえ、いずれも業務の整理であることは変わらないのです。ただ、本質的にはプロセスを整理しないといけなくて。

 

余談ですが、私の得意な戦術にフローと登場人物を書き出して役割を記載し、役割を再度割り当て直して登場人物を減らしフローの流れを早くする、というテクニックがあります。

ちなみに、これを使った活動で最高に効果が出たのは、1サービスの提供までに15営業日かかっていたものを、リードタイムを5営業日にまで縮めた事があります。

 

TMSで言う7つの無駄のウチ「移動の無駄」を省く、と言うものかなと思ってます。

 

ただ、これは、フローの整理に過ぎず(フローの整理を突き詰めるだけでもこれだけ早くなるってのもどうかと思うのですが)、実際のところ、本質的なプロセス改善には至っていなかったのです。

 

少し混乱してきそうなので解説すると。

プロセスとは、抽象化されモデル化された大枠のものです。極端なことを言うと、

仕入れる」→「作る」→「売る」→「仕訳る」これがプロセス。

要は、組織間の関係性を可視化して、最終ゴール(≒儲ける)に持って行くまでのモデル図。

フローとは、これらプロセスの中のものや情報の流れ。

誰が、誰に、何を、何して、渡すのかを図式化したもの。

例えば先ほどの「仕入れる」であれば、仕入れるものを探してきて、上司に稟議書を切って、承認されたら発注して〜となるはずです。

これを表したものがフロー。

 

じゃあ、タスクは?

そのフローの中に表現される一つ一つの作業、といえばよいでしょうか?

例えば、先ほどの仕入れるものを探してくるというフローの一要素がありましたが、これ、探すためには目的の素材を定義したり、仕入価格を決めたり、その素材でいいのか、仕入れ元は仕入れ元としての基準を満たすのか調べるとか色々やらなきゃいけないことありますよね。これら一つ一つのものがタスクです。

 

お気付きの方もいるでしょうか?RPAは使う前に業務を整理する、プロセスを整理することを大切だと言ってます。

RPAはタスクを省力化するもののはずなのに、何故かプロセスを整理するんです。

 

悪い営業が、テキトーなこと言ってるパターンもあるかもしれませんが、これは本質的に痛いところをついてくるなぁと思うわけです。

 

その仕事、業務、プロセスに、そのフロー、タスク、必要ですか?をまず考えましょう!って言ってるんですね。それをしないと、ノラロボットやメンテが大変なロボットが生まれると。まぁ、他人が作ったエクセルのマクロだと思えば大体あってるのでは?と思います。

 

ああ、話がすっ飛びました。

 

私がした失敗ってのは、最初の言葉「これに困ってるんです!」を真に受けて、タスクを整理してしまい、プロセスにたどり着けなかったってことなんです。

 

言い訳ですが違和感は感じてたんです。なんか違うなと。頭は痛くなるし、自分のやっていることや考えていることに違和感も感じてました。でも、止まれなかった。で、ある日同僚と喋ってだときに気がつかされました。

あれ?これってプロセスの改善してなくないかと。タスクやフローの可視化には繋がってた。けど、けど、プロセス。つまり、モデリングされた大きな流れに全くたどり着けてないと。

 

それからは、まず今まで集めてきたタスクが、どのプロセス、またはフローに準ずるものかを必死に書き出しています。タスクなのかフローなのかは気にしてません。つまり、どんなプロセスが存在するのか?を理解するために、今目の前にある事実を書き出していってます。

 

で、これまたつい最近気がついたのです。

あ、これ、社長だと。

当ブログの最長シリーズ「SoRとSoE」の第5回で申し上げた「社長」の話です。一つのサービスを提供する上で必要となる機能をバックログに取り込むためには社長やって肌感覚を身につけないと難しいんじゃない?という話です。

 

どうも、社長にならなくても、ビジネスプロセスを作ること、可視化することは出来るんじゃないか?そう思ったわけです。

 

今の取り組みが成功すれば、社長にならなくてもピジネスプロセスを理解し、可視化するコンサルタントにはなれるんじゃないかな?と思ってます。要は、あるべきプロダクトオーナーになれる。ただ、この取り組みをする上で最大の障害があって。。

日常オペレーションにかなり時間を取られそうな上に、私はこの「ルーチン」を行うということが死ぬほど苦手なんです。総合職としての立場上、PMだけをやりたいというのもはばかられ。。うーん。ルーチンに忙殺されるほど本末転倒なことはないはずなのですが。。

 

 

働いてもらう環境、整ってますか?(長編の派生)

ちょっと特別編。

ちょうど3回目を書いた時に、ん?もう一つあるな、と思いついたので。

 

長編SoRとSoEの3回目でこんなこと書きました。

(前略)

前回申し上げたEaaSの話にまたなっちゃいますけど、社内システムから見れば、利用者は顧客なんですよ。顧客が満足しないシステム作ってるのがいわゆる社内情シスですからね?

(中略)

働き方改革が叫ばれ生産性向上が急務と言われても、実は働いてもらう環境が生産性を上げてない

(後略)

(太字は今回改めて強調)

今所属している企業もそうなのですが、いわゆる基幹系と呼ばれるシステムって「お客様」が管理する側なので使いにくいシステムが仕上がります。最近はもっと悪い方にシフトしているような。

ただ、ここまで書いておきながら悲観していません。

いわゆる社内情シスが「お客様」を見るという意識になってきているのは肌感でわかります。

ただ、本当のお客様はユーザーであり、SoRで記録する側ではないはずなのです。

いわゆる社内情シスが「お客様のために」より効率を、より効果を求める姿勢は進展しつつあると思いますが、残念ながら顧客を「SoR使う」側(SoRに使われる側ではなく)にしているため、どうやって効果効率的に記録を取るかに焦点が当たっていて、余計残念なシステムの出来上がりです。

ですが、いずれ変化します。システムは今まさに外部との競争にさらされ、本当に必要なシステムのあり方について徐々にですが舵を切っています。企業が残っていれば、ですがいずれ変化すると思っています。

 

それよりも。

これらシステムが乗るいわゆるインフラストラクチャ、簡単に言えば、ネットワークからハード、MW、OS層ですが、これらが本当に働いてもらう環境として生産性を上げることを意識しているかと言われると疑問が残ります。特にネットワーク。

今のネットワーク層は社内と社外を明確に区別し、守ることが至上命題になっています。

 

勿論、それは正しいです。ただ、それだけが正しいわけではなく、区別しつつ、必要なところと必要な時につなぐ事、それが本来のあるべき姿だと思うわけです。

 

先ほども申し上げた通り、「お客様」に寄り添ったシステムは積極的に社外から社内につながって来ようとしています。

また、SoEは社外の方が何かと都合が良い上に、お客様は社外にいるので自然、社外にシステムというか窓口は置かれていきます。従って、お客様と繋ぐものは外、記録するものは内、という流れができてきます。今はまさにその過渡期。余談ですが最終的には「社内」「社外」という区別のない世界になるでしょうし、していきたい。

 

しかし、そうなってくると困ったことになります。

今の過渡期のタイミング、社内のシステムに記録する方法が無い、または、記録する際に必ずGWを通るが故にGWの通信が逼迫する、または、記録するためには必ず人手の加工が必要になる。など。簡単に言えば、「人手を介するので調整先が増える」

 

本稿通じて何度も申し上げますが、エンドツーエンドのサービス、つまり、「お客様」からお客様が支払ってくださったものやお客様の情報などを記録するところまでをワンサービスと考えると今の内外を区別し、審査するインフラの考え方では絶対に自動化できず、働き方の改革なんてできないんです。

どこかでモノや情報は滞留し、どこかでバッチ処理をするか通信が破裂して全体影響が出ます。

例えば、バッチ処理は特定の時間になるまでWIPとして溜まり、かつそのデータが不良か否か(正確には欲しい情報になっているかは分からないとも言いますかね)は処理するまではわかりません。つまり、確かめる方法がない。

また、GWに流れる通信量の肥大はどのような通信をしているのかを追いかけ続けないとわかりませんが、それだけのリソースや予算はあり得ないので、破裂するまでは理解できないはずです。

 

実はこれらシステムやインフラが、「バッチ処理」や「とりあえず集中監視」をしている状況が効率化できない働き方の原因なんだという事を認識せねばならないと思います。

 

余談ですが、社内情シスとしてこの懸念を発信しておりましたが、受け入れてはもらえませんでした。致し方ないと思います。私の言い方も悪かったです。社内情シスを離れ、こういう発信手段を手に入れるまでは私もちゃんと説明できませんでしたし。もっとも、「社内」と「社外」の境界が曖昧になることは失礼ながら馬鹿でもわかる事なので、何か別の理由があるのかもしれませんが。

 

いずれにせよ、日本に足りていないのは、実はSRE(Site Reliability Engineering)ではなくて、今作った造語ですがSIE(Service Infrastructure Engineering)ではないかと思います。

つまり、サービスを提供する上で必要となるインフラにおいて論理的にも物理的にも全世界でエンドツーエンドで物事を見られるエンジニアです。

 

インフラ領域を仮想化して抽象化し、ビジネス(アプリ)に影響が出ないようにすることは非常に難しいですが、それが理想です。サービスに必要なアプリの設計に気が回っても、それがどのようにインフラに影響が出るか分からないためです。というか、わかりようがないです。論理構成図と物理構成図、さらに言えばどのような通信や処理がインフラそうで行われているかなんて可視化する仕組みないですから。

そして、仮に分かったとしても、そこを通すために調整する時間なんてビジネスサイドからすればもったいなくてやってらんない。要は、安心安全に通してくれ、それ以外求める要件なんかないのです。

ではどうするかというと、抽象化を維持するためにリアルな世界を知っているエンジニアが必要ですが……いると思います?

どのような通信、どのようなインフラが存在し、そこで何が行われているかを肌感で分かっているエンジニアです。そして、そんな彼ら彼女らはビジネス側に精通し、ビジネス側のスピードに合わせてインフラを増強し、かつ何がバズるか分かってる人。いませんよ。

わかりますか?外部から人持ってくる。運用エンジニアを外出しする。そんなやり方をしてきた結果、自社内で通用する社内SEいなくなるんです。

今までのような長い時間をかけてジェネラリストを養成するようなことをしていては間に合いません。そして、アウトソースしまくった結果、社内にいません。

システムや構成を知っていて、その上のレイヤに既存のサービスやシステムを重ねることが出来て、かつその役割を知っていて表現できて、そのさらに上に新しいサービスやシステムのトポロジを乗せて危機感に対するアンテナを張れる人材。私が知る限り、そんなのいないです。

 

だから抽象化し、俊敏なインフラに変える必要があるんです。さらに、サービスが立ち上がるときに肌感でこういうサービスを組むならこんな仕組みにしないと危険だぞ?と思えたり、可視化できる人材も。

 

もしくは、極論ですが、WANなんてものはなくしてしまえばいい。そうすれば、少なくともネットワークのインフラエンジニアは不要です。守るべきWANがないので。

 

こういう時、一般的なITサービスマネージャなら、「SKMSやCMSを作りましょう」となるのでしょうが。

SKMSはあくまで概念に過ぎないと思っているのでまぁ、それはおいておきましょう。

 

話が予想以上に長くなりましたのでちと強引にまとめますが。

 

働いてもらう環境、整ってますか?仕事をしたいと思っている人間が社内調整に駆け回っていませんか?

本来為すべきことを出来る環境、整えてあげてますか?

アプリ、つまりビジネスを支える直接的な物は今後もっと自動化、ローコード化が進むでしょう。そうなった時、インフラはそのカオスを支える仕組みを持たねばならない。それを人手で回すのは絶対的に不可能なのです。

人の神経回路と同程度のスピードで流れ、かつ人の脳みその容量(記憶によれば5テラ?ギガ?バイトだったような)を超えるデータを支える仕組みを人が保守運用することなんかできるわけがないのです。それは人間の限界を超えている。

人間で処理できる限界を超えたものを人手で回すことなどどう考えても不可能です。これは人手不足などという話ではありません。人の限界を超えている話なのです。

 

故に、インフラストラクチャは抽象化し、仮想化し、ビジネスの成功を願う者たちを影で支える黒子に徹する仕組みに変える。黒子なので、表舞台の調整ごとなんぞに出てきません。調整する時間もムダなのでムダなことをしないように変化する必要があるのです。

「仕事」を表舞台の人間にしてもらうために、調整などというその人間達の「業務」をなくして差し上げる。それこそが、社内情シスに求められる「仕事」なのだと思います。社内から調整ゴトのメールが送られてきた時点で、インフラの職責を果たしていない。そういう時代なのではないかと思います。

 

ちとトゲがありすぎます気もしますが、今、まさにインフラを守る方々の仕事を揶揄しているわけではありません。インフラの仕事が変わったということを申し上げたいだけです。今までのように調整ごとやCABを開く事が仕事ではないと。アプリを扱う人々に調整ごとを投げかけない環境を守る事が、インフラの仕事なのだと。そういう意味では、SREに似ていなくもないのですが。ただ、私の唱えるSIEは、それらSREが面倒見るサービスの維持というよりも、もう少し大きく、全社的な意味合いでの調整役(対人間ではなく、対システム間の調整という意味で)です。

そして、それをできていない企業のインフラは、インターネットに飲み込まれ、職場を失う。そう思います。

 

そして、アプリの方々にも言いたい。今、「お客様」を見たサービス設計できてますか?企業の最終目標は、決算として表現する事です。つまり、会計仕訳を施して、記録する事で、本来のサービスの成果が見えてきます。

お客様の支持を獲得しているか否かは、究極的にはこれでしか測れません。

いわゆるビッグデータや分析基盤とうたわれるようなものを作っても、所詮は数字(でデータ)遊びに過ぎず、お金がどれぐらい儲かったか。これにつきます。

したがって、全ての仕事はこの会計仕訳に向かって進んでいくはずです。裏を返せば、この方向に向かって進む限りにおいては、「調整ゴト」は全て無駄です。もっと言えば、会計仕訳を作る作業なんて無駄の極致です。(決算書を作るというお仕事を言っていません、仕訳を作る作業そのものです)

本来は、何かを売りそれが確定すれば、次の瞬間には会計仕訳として記録されてなければいけない。ムダを究極に排除するならば。

 

いやいや、売るだけが仕事じゃない?そうですね。でも、なにがしかの作業をして給与という対価を得ているなら、そこに人件費かかってますよね?つまり、一ヶ月に一回は会計仕訳に貴方に支払った給与は記録されるべきですし、そこにかかったコスト(光熱費やパソコンのリース料、または減価償却などなど)が乗ってくるはずです。マイナスの記録が。つまり、一般管理費が乗っかってくるということです。売上総利益(粗利)をどこまで精緻に出すかによりますが、今回たとえにあげた人件費なんてものは、月末締めの翌月払いであれば、支払い日前には確定しているはずです。一般管理費仕入原価と雑経費と人件費と仮定すれば(そんなわけないのですが、あくまで例として)、少なくとも翌月第一営業日には確定できるはずなのです。なぜできないんでしょうか?

それが、サービスを使う目的であり、理由であると思うのです。

SoRとSoEはちゃんと考えようって話(5/5)

ついに最終回。

前回やこの長編全部を確認する場合は、タグから選んでください。

 

今まで、SORとSOEの違いやどうシステムを作るのか、といった話をしてきました。長々とお付き合い、ありがとうございました。

 

最終回は、じゃあどうやったら、そういうサービスを考え、システムを作り、ビジネスとしてなりたたせる、そんな人材になれるのか。それを私なりの解釈でお話しできればと思います。

 

端的に言えば、スタートアップ企業の社長になるしかありません。(笑

 

何かを仕入れ、作り、売り、儲けを記録する。その一連の流れを把握しない限り、ちょっとそんな人材作れないんじゃないかと思います。

 なので、やはり自分が経営者になるしかないと思うんです。副業とかでもいいですが。

 ハンドメイドでもいいと思いますし、自分の経験でコンサルするのでも良い。とにかく商いを一つやってみる。

そうすると、嗅覚というか勘所というかそういったものが身につく。

 

とはいえ、いきなり自営業始めるって難しくない?そもそも雇われだし、そんな時間あるの?リスク高いよ、無理無理。

うん、私もそう思うんです。(笑

で、じゃあ次善の手って何があるかなぁと考えたのですが、作る(または仕入れる)事から売り、お金を回収するところまで全部体験して学ぶ事なんじゃないかなぁと。一つの会社で学んでもいいですが、なかなか人事な事なので、かなり恣意的に進めないと難しいです。そうなると、もう、この際アルバイトでもして学んでもいいんじゃないかなと。

ただ、これにも弱点があってですね。スーパー時間がかかる事と、主力事業がある会社ならまだしも、これから新規事業起こそうって段階だと経験のしようがない。さらにはアルバイトでも〜と書きましたが、アルバイトにそんな経験をさせる企業が多分いない。

ちなみにここでいう経験ってただ単にラインに立って実際に物を作るってことではなくて、お金が物に変わり、またさらにお金に変わるという計数管理の話なので、ただ漫然とアルバイトしてりゃあいいってもんでもないんです。

 

じゃあ、ただ単に数字を集めて眺めてりゃいいのかってことでもなくて。

お金→物(仕入れ、仕掛かり)→加工(工数付加)→物(製品)→お金→仕訳

に流れていくので、ものを見たらお金に変えて、お金を見たら物に変える。そんなセンスを身につけるための経験になります。で、物だったらまだましなんですが、サービスになるとそもそも無形になるのでサービスを有形のナニガシカに見せ方を変えるってセンスも要ります。

一言で言うと、カオス。

 

このセンスを磨こうとすると、大企業はかなり難しいです。知る前に定年が来る。人が多い分、その中に入り込んで実務やりながらこれを学ぶと言うのはそんな人材に育てるんだと強い意志を持って人材育成しないと大変だと思います。それこそ、雇用の自由を奪う契約じゃないと。

ジャストアイデアですが、大企業でもできないことはないと思うのですが……ただ、それは理想すぎて無理かなぁ。理想的にはティール組織的な上も下もなく、かつ8人で一チームにすればできなくもない……はず、多分。

 

ただ、こう言う働き方をしようとするとそれに乗れない人も出ます。そういう方はノードになってもらうしかないので、人間性を捨てて働いていただく形になります。まさしく、替えがきく人材として。

ノードと例えたのは意味があります。ノード、つまり通信における接続装置ですが、要はSoRやSoEとダイレクトに接続させられないが故にそこに接続装置として存在するという事です。

例えば、経理システムに数字を打ち込む行為は請求書や領収証という紙で届けられたナニガシカの値をシステムで処理できるように変換している行為と考えられます。要は、紙というシステムでは食えない通信手段をシステムに食わせるための変換とデータ接続の役割を果たしています。故にノードと、そういう事です。

いや、わかりやすいと思ったので例にしましたが、この仕事そのものを揶揄したいわけではありませんので誤解なく。

 

なので、「仕事をする」という意味では1サービス8人で良く、ノードを含めれば8人にこだわる必要はありません。

 

これを極言すれば、「仕事をする」をexecutionと読み替えるとピンと来るかと思います。

 

執行役員は8名以下であるべきで、それ以下の人は全てノードです。

 

ふむ、と考えると、やっぱりそういう人材になるためには、自分が社長やるしかないってことですよ。とはいえ、家族や自分の飯を食うってのも大切なので、やっぱり複業、になるんでしょうね。

最近、Microsoft社が週4日勤務に変更しましたが、アレもこのロジックで考えると面白いですね。要は1日自分のために働いて良いって事ですから。

 

でも、そんなに社長になれる人は早々いません。そうなると、複数人、各々のスペシャリストが信頼しあってマイクロサービスを考えるべく、ワイガヤする。

難しいですねぇ。コードをかけつつ、サービスを考える人材。

コードを書くという特殊技能は、いずれローコード化が進みもっと万人にウケるものに変化するとしても、マイクロサービスを想起することのできる人材を作るために、サービスを考えるのではなく、サービスに分解できる人材が求められる。どういう学びを繰り返せばそういう人間になれるのか。

少なくとも漫然と生きていては達成できないような気がします。

 

まとめます。

今の世の中SoRとSoEを意識したシステムを作る必要があります。SoRとSoEは各々疎結合であるべきで、そうするために開発部隊はビジネス側のしたいことをより細かく小さいサービス単位に分解してシステムとしてなりたたせる必要があります。そして、その細分化された各種サービスを組み合わせて一つのシステムとして成立させるためには、物事をお金という数字に読み替えて、川のように流すこと。留まらず、滞留せずにストーンと流す。

そんな流れを実現することを意識してマイクロサービスに分解するってことをできる人材になりたいなら、自分でやってみるしかない。

ということかな。さて、そうと決まれば、私は何を提供できるんだろうか?

 

 

このような流水化される仕組みを実現すると可視化が進みます。嘘やごまかしが存在しない値になる事で、どう見せるかという議論だけになります。要は、よく言われるダッシュボードになります。

因みに、蛇足ですが、なぜここまでお金にこだわるかというと、今まで述べてきた通り、それが最終的に企業の決算にハネるからです。そして、お金はお客様からの支持の証になるためです。

どれだけお客様から支持を得たのか。それを確認する手段がお金である。と言うことです。

SoRとSoEはちゃんと考えようって話(4/5)

4回目です。

前回やこの長編全部を確認する場合は、タグから選んでください。

 

前回まででSoRもSoEも大切であり、でもそれぞれの役割の違いと求められる俊敏さの兼ね合いから疎結合なシステムでなければならないという話をしました。

余談になりますが、それはお客様向けのシステムであっても、従業員向けのシステムであっても変わらないという話もしました。

 

今回は、じゃあそんなシステムってどうやって作るの?って話です。

 

実は前々回のAmazonでお買い物する例えにヒントはあります。

こう書きました。

SoRに記録されている購買履歴とSoEの欲しいものリスト、閲覧履歴、さらにSoRの他の顧客の購買履歴とを突合させ、SoEとして「この商品を見た人はこんなものも買っています」(レコメンド)機能を出します。

欲しいものをSoEのカートに入れ、SoRで決済します。

SoRとSoEを行ったり来たりするもいうことを伝えるためにかなり端折ってるのは申し訳ありません。

この顧客体験を究極にシンプルにすると、

  1. 買い物に来る(アプリの立ち上げ)
  2. 商品を検索する
  3. カートに商品を入れる
  4. お届け先を入力する
  5. 決済する

以上。これら各々SoEのサービスです。いいですか?これから各々個別のSoEです。

 

前々回は決済はSoRって言ってました。すいません。実は正確に言えば決済した後、会計上の仕訳を行うフェーズがSoRです。しかし、お客様が決済を行うフェーズではSoEなんですね。

 

今回は端折らず正確に書きましょう。(と言いつつ、抜けてるかもしれません)

 

決済するってのは、こういうことなんです。

 

例)お客様がご自身のクレジットカードで決済する場合

  1. お客様がクレジットカードの番号を打ち込む
  2. 信販会社に問い合わせる。
  3. 信販会社が与信枠を確保する
  4. 信販会社が仮売上を立てる
  5. OKがカートシステムに返ってくる。
  6. 在庫が引き当てられる
  7. 理論在庫が1つ減る
  8. 「注文ありがとう」画面に変わる
  9. 購入履歴に記録される
  10. 売上、経費(輸送費、手数料など)のお金が仕訳られる

 

うーん、今思いつくのはこんなところでしょうか?

 

私の認識では、SoRは6,7,9,10で、それ以外はSoEです。とはいえ、これを一個ずつ作って疎結合にするのはナンセンスだと思います。

個人的な意見ですが、これらの手続きというかタスクを洗い出したら、「誰が」「誰に」を意識し、fromとtoが一緒なら1つの機能にまとまるかなと思います。今回の例なら2と3と4、6と7かなと。

そうすると決済に関わるプロダクトバックログは、SoEが4、SoRが2。合計6つになります。

これがシステムの作り方、だと思います。

 

今回はあくまで一例でかつ、現実的ではありませんが、イメージは掴んでいただけたでしょうか?

 

今回お伝えしたかったことは、今回の例のような1つのサービスを考えた時、プロダクトオーナーは、5つのバックログを考えるでしょう。しかし、スクラムマスター(とそのチーム)はその5つのうちのたった1つを6つにより深く分解し、バックログに登録する。

つまり、○○を提供したい!をバックログに落とし込むためには業務フロー、業務タスクをより小さく選り分け、かつどれをシステム化するのか仕組みでカバーするのはどれかなんてことをプロダクトオーナーと決めていかないといけないということです。

そしてその中にはSoRもSoEもある。

 

これをマジのガチでやろうとすると今までのような会議体では絶対にできません。

チームで寄り集まり、何を作るのかを全員が同じ目線で認識し、ワイガヤでやらないとバックログはできませんし、減ることもないでしょう。

 

そして、プロダクトオーナーは元より、スクラムマスターもサービスの内容を熟知した上で、かつ、サービスで儲ける内容をエンドツーエンド(顧客に届けることからビジネスの成果を記録するところまで)を認識していないとどのシステムを作り、どの既存システムを活用するのかを判断できません。もっといえば、記録したデータに基づくKPIを設定する事で、経営から現場までゴールに向けた即断即決のビジネスプロセスが生まれます。

 

スクラムマスターはどう頑張るか。

チームとともにサービスを構成する業務プロセスを細かく分析し、細かいサービスに分解し、それをプロダクトオーナーに理解させる。チームを鼓舞し、ティーチング、コーチングし、自分たちの提供するサービスの中で作るのか、それとも外部のサービス(既存のシステムを含む)を使うのか、仕組みでカバーするのかを決めるまたは決めるための判断材料を整え交渉する。つまり、社内を渡り歩くだけの知識を持った人間として立つ。

これが、スクラムマスターが頑張らなければいけないことだと私は思います。

 

今は、サービスをお客様に提供することにフォーカスが当たっていますが、近いうちにそれを記録するところまでを見据えて仕組み化(あえてシステム化とは言いません。なぜなら、システムとして構築するのは手段に過ぎませんから)する事にチャレンジしなければなりません。

なぜなら、経営はそれを欲しているからです。自社の成果を見えるようにするためには記録することをサボっては即断即決になりません。

経営は現場から一番遠いです。でも判断は経営がしないといけない。現場で起きていることを目の前に。そのためには、リアルタイムでのデータの記録と可視化。

 

今、企業にある記録するための基幹システムはおそらくそんな機能は備えていない。それだけはちょっと悲しいことなんですけどね。

 

 

さて。

SoRもSoEも大切であり、密接に絡むものでありながら疎結合でなければならない。ユーザー企業の担当者(プロダクトオーナー)はもっと全体(お客様から成果を記録するところまで)を俯瞰して価値を提供するという考え方にならないといけない。そんなことをお話ししてきました。

 

では、そんな人間にどうしたらなれるのか。今の私が一番苦しいところを共有できればなと。